
お念珠は、仏教に関わる仏具のなかでも、もっとも広く知られているものといっても差し支えないかもしれません。またの名を「数珠」、「寿珠」とも呼ばれ、あまねく方に身近なものとして、老若男女や僧俗を問わず慣れ親しまれています。そして、仏菩薩を礼拝する際にかかせない法具であると同時に、あなたと仏さまの心を通い合わせる大切なものです。
埼玉の川越にある喜多院に納められた、狩野派の長女の一人・狩野吉信によって、江戸初期に描かれたと伝えられている、重要文化財の「喜多院職人尽絵(きたいんしょくにんづくしえ)」には、「数珠師(じゅずし)」が数珠をこしらえている姿や店先に並べられた数珠を見遣る老婆の姿が描かれています。このことから、お念珠は江戸時代の庶民にも身近な存在であったことがうかがえましょう。
お念珠の起源にはさまざまな説があり、はっきりとは分かっておりませんが、元々は古代インドで僧たちがお念珠を唱える回数や日数を記憶するためのもの、つまり「数を念ずる」「数を記す」ためのものとして生まれたものとされています。それが、仏教発祥の地であるインドの仏教徒のあいだでも取り入れられたのでしょう。
またインドではお念珠が「念誦の輪」として仏教以外にも用いられることがあるそうです。キリスト教徒が聖母への祈りを捧げるときに用いられる「ロザリオ」の形状と名称は、仏教に由来するという説が西洋の専門家からも指摘されています。
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【瀬戸内寂聴 念珠各種】 |
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